足つきとシート高がライディングに与える影響

試乗

大型バイクを選ぶ際、多くのライダーが重視するのが「足つき」と「シート高」です。初めて大型バイクに挑戦する方にとって、これらの要素は安心感や安全性に直結します。今回は、大型バイクを選ぶときに「足つき」と「シート高」がなぜ重要なのか、そしてどのように自分に合ったバイクを見つけるかについて解説します。

なぜ足つきとシート高が重要なのか?

大型バイクにおいて、足つきの良さはライダーの安定性と直結しています。バイクを停車する際、両足がしっかりと地面につくことで、体重移動がスムーズに行え、立ちごけや不意の転倒を防げます。初心者ライダーや小柄な人にとって、足つきの良し悪しはバイク選びにおいて重要なのです。
足つきが良ければ、停車時や低速走行時の不安を軽減でき、ライディングの集中力も高まります。バイクは直立しているときに安定しますが、信号待ちや駐車時には少なからず足で支えなければなりません。そのため、足つきが悪いとバイクが傾きやすく、支えきれなくなるリスクが高まります。

シート高と足つき性の関係

バイクの「シート高」は、足つきに影響を与える要素の一つです。一般的に、シート高が低いバイクほど足つきが良くなり、シート高が高いと足つきが悪くなります。しかし、足つきはシート高だけで決まるわけではありません。
シートの幅や車体のデザインも大きな要因です。シートが幅広いと、股を大きく広げる必要があり、その分地面に足をつけるのが難しくなります。一方で、シートの前方が絞られているバイクは、自然に足を地面におろしやすく、足つきが良く感じられることがあります。ステップの位置が足を下ろしたときに邪魔にならないかも重要なポイントです。

低身長ライダー向けのバイク選びのポイント

身長が低いライダーや女性ライダーが大型バイクを選ぶ際、足つきを重視する必要があります。多くのバイクメーカーはシート高を800mm前後に設計しており、これが一つの目安とされています。ホンダの「レブル1100」やカワサキの「ニンジャ650」など、足つきの良さで評価されているバイクは、シート高が700~800mm程度であることが多いです。
例えば、ホンダ「レブル1100」はシート高が700mmと低く、車重も223kgと比較的軽量です。そのため、両足がしっかり地面に着くので、初めて大型バイクに挑戦するライダーでも安心して操作できます。また、カワサキ「ニンジャ650」もシート高が790mmで、車重が軽く、初心者や低身長のライダーに適したモデルです。

足つきだけではない、大型バイク選びでの重要ポイント

足つきは大事な要素ですが、それだけではありません。もう一つの重要な要素は「車両重量」です。バイクが重いと、停車時や低速での取り回しが難しくなります。ホンダの「CB1300」はシート高は低いものの、車重が272kgあり、足つきが良くても重量の影響でバランスを崩しやすくなります。
バイクの「ステップ位置」や「ハンドル形状」も操作性に影響を与えます。ステップが足を自然に下ろしたときに邪魔をしないか、またハンドルが自分の体格に合っているかを確認することも大切です。

試乗の重要性

実際に試乗して足つき性や乗り心地を確認しておきたいところです。カタログやインターネットでの情報だけでは、自分に合ったバイクを見つけることは難しい場合があります。シート高が同じバイクでも、実際に跨ってみると、シートの形状やステップの位置によって足つきが大きく異なることがあります。

シート高

一般的に、シート高800mm以下のバイクは足つきが良いとされています。しかし、シート高だけがすべてではありません。シートの形状が前方に絞られている場合、同じシート高でも足をしっかりつけやすくなることがあります。また、逆にシート高が高くても、シートが広すぎると足を地面に届かせにくくなるため注意が必要です。

車幅

バイクの幅が広いと、それだけ足を開く必要があり、足つきが悪く感じることがあります。アドベンチャーバイクやツアラーバイクのような大型モデルは、シートの幅が広い傾向があります。試乗前には、自分の足の長さや体格に合った幅かどうかを確認しましょう。

ステップの位置

ステップの位置も足つきに大きく影響します。ステップが足を降ろした際に邪魔になる位置にあると、足つきが悪くなるだけでなく、バイクの取り回しが難しくなります。ネイキッドタイプやアメリカンクルーザーのようなバイクでは、ステップの位置が低く設定されていることが多いので、確認が必要です。

試乗で足つきを確認する方法

試乗は、実際に足つき性を体感できる重要な機会です。では、試乗時に具体的にどのような感覚を確認すべきでしょうか。

停車時に両足がしっかり着くか

試乗中、まずは停車時に両足がしっかり地面に着くか確認しましょう。足の指先だけでなく、足裏全体がつくのが理想ですが、最低でもつま先が両方しっかりつく状態が望ましいです。片足のみで支える場合もありますが、バランスを崩したときのリスクが高まるため、基本的には両足がつく状態が最も安心です。

取り回し時の安定感

バイクを押したり、バックさせたりする場面でも、足つきが影響します。試乗時には、バイクを自分で押してみたり、バイクを傾けた際にどれだけ安定して支えられるかを確認しましょう。大型バイクは重量があるため、取り回しが難しいと感じるバイクは避けた方が良いでしょう。

停車時の安心感

いざという時にしっかり支えられるかどうかを試乗中に感じてみてください。足が着く感覚に不安を覚えるバイクは、実際の道路での運転中に思わぬ危険を招く可能性があります。自分がストレスなくバイクをコントロールできるかを重視しましょう

試乗時には、停車時の足つきや、車体を支える際のバランス感覚を確かめましょう。また、実際にバイクを動かしてみて、低速での操作性や重さがどの程度影響するかも体感してみてください。試乗を通じて、自分にとって乗りやすいバイクを見つけましょう。

足つきのおすすめ改善策

足つきに不安を感じるライダーには、バイクのカスタマイズや専用アイテムの利用が効果的です。まず、シートを薄く加工することでシート高を下げることができます。これは多くのライダーが実践している方法で、シートの素材を変更して薄くすることで足つきを改善します。
また、ローダウンキットを使用して、車体そのものを少し低くする方法もあります。この方法は、足つきに直接影響を与え、背が低いライダーにとっては有効です。さらに、厚底のライディングブーツを使用することで、足の長さを補うことも可能です。

足つきに優れた大型バイク5選

低身長のライダーでも安心して乗れる足つきの良い大型バイクを5つ紹介します。それぞれが異なる特徴を持つため、ライダーのスタイルや好みに合わせて選ぶことができます。

ホンダ レブル1100

足つきの安心感と軽量設計 ホンダのレブル1100は、足つき性を重視した設計が特徴のクルーザータイプのバイクです。シート高はわずか700mmと低く、短い足でもしっかりと地面に届きます。重量は223kgと大型バイクの中では軽量な部類で、取り回しがしやすいのも大きなポイントです。また、クルーザー特有のリラックスした乗車姿勢は長時間のツーリングでも疲れにくく、初心者ライダーや小柄な方にも人気があります。

スズキ SV650

コンパクトな車体と優れたコントロール性能 スズキのSV650は、シート高が785mmと比較的低く、コンパクトな車体で足つき性が優れています。軽量な車体(199kg)とスリムなデザインにより、跨った際に足が自然と地面に届きやすく、コントロール性が高いバイクです。このモデルはネイキッドスタイルで、街乗りからツーリングまで幅広く対応可能。加えて、手頃な価格帯であるため、コストパフォーマンスも良いと評判です。

ヤマハ MT-07

シート高とバランスに優れたモデル ヤマハのMT-07は、シート高805mmとやや高めですが、その軽量な車体(184kg)とスリムなデザインにより、低身長ライダーでも無理なく乗ることができます。MT-07の特徴は、そのバランスの取れた設計で、エンジン出力も適度で初心者にも扱いやすいです。市街地やワインディングロードでの操作性が高く、通勤からツーリングまで幅広く対応できるため、汎用性の高いバイクとして多くの支持を集めています。

カワサキ W800

クラシックデザインで足つき性抜群 カワサキのW800は、クラシックなデザインと安定感のある乗り心地が特徴のバイクです。シート高は790mmで、シート自体がスリムにデザインされているため、跨った際に足がしっかりと地面に届きやすくなっています。車重は226kgと中程度で、安定感がありつつも扱いやすい重量感です。クラシックバイクを好むライダーにとっては、見た目も性能も魅力的な選択肢です。

ホンダ CB1300 SUPER FOUR

大柄なバイクでも安心の足つき ホンダのCB1300 SUPER FOURは、大型リッターバイクながら、足つき性が良いモデルとして評価されています。シート高は780mmで、重量は266kgとやや重いですが、シートの幅がスリムに設計されているため、跨った際に足がしっかりと地面に届きます。大型バイクの中でも走行性能が高く、パワフルなエンジンを持ちながらも扱いやすさを備えており、ベテランライダーにも支持されているバイクです。

まとめ

大型バイクを選ぶ際に、足つきやシート高はライディングの安全性に直結する重要な要素です。初心者や低身長のライダーにとって、足つきの良さは操作性や安心感を大きく左右します。しかし、足つきだけでなく、車両重量やステップの位置なども含めて総合的に判断することが重要です。最終的には、試乗を通じて実際に自分に合ったバイクを選ぶことが、快適で安全なライディングに繋がります。